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LOVE & SEX

射精を科学する②
~その瞬間、男性は何を思っているのか?~


男のロマンはパンツを脱ぐ前に終わっている!?

男女

性欲が強すぎたり、セックスの相手がいなかったり、単に精子の過剰在庫を整理するため……と、仕方なく行うものだと思われがちな男性のオナニー、実は女性とのセックスのときに備えて精子の選別と調整をする、意味深い行動であることを前回はお話ししました。
それでは、相手がいてセックスをするとき、男性はどんなことを思い考えているのでしょうか。今回も、このコラムの主旨に理解ある何人かの男性にレポートをまとめてもらいました。
セックスの最中に「今、何考えているの?」と聞く女性はあまりいないと思いますし、私ももちろんそうです。「そろそろ出したいな、いやもう少し続けて彼女を満足させたほうがいいか」と迷っている程度なのだろう、と勝手に想像していました。セックスしているときは女性のほうも、感じたり感じさせたりで頭の中はワーッとなっていますよね……。

非常にシンプルなものだと説明してくれた人がいました。
「男の場合、コケコッコ~なので、そこにロマンはあまりないのだなあ……。男がコケコッコ~のためにあれほどの苦労をするのは、それまでの過程にあるのですよ」
そう聞くと「やっぱり排泄なの!?」と早合点しそうになりましたが、そうではなく、「風俗店で5000円で解消する射精とはちがうのです」と言われました。精神的なあれこれはパンツを脱ぐ前の時間にあるようで、「それはやっぱりロマンなのでは?」と思いました。
「でも、デートしたり食事をしたり、それでやっと手にいれたオーガズムなのに、『なんやこれ? しょうもな!』ということもあるわけで、そういう時に男は賢者の時間を迎える」
と言われると、そういうことって女性も絶対にないとは言えない、という気がしました。
そんな瞬間って、こちらも何となく気配を察するというか、事後のイチャイチャもなく妙にベッドまわりを整頓したり、お風呂にお湯をためたりしながら、「ん~、仲のいい男友達でいたほうがよかったのかな……?」と思っていたりします。
理由は定かではないけれど、「抱き合うべきではない相手だったのかも、この人と次はないな」という冷めた気分になるのですが、彼によればその理由はズバリ性器の相性ということのようでした。つまり、抱いてみないとわからない。
それでも愛情が深ければ、いけてもいけなくても関係なく、余韻に包まれて身を寄せたくなります。また、回を重ねてだんだん相性がよくなるように工夫しようとするでしょう。そこまでして付き合いたい人かどうか、がこの瞬間に明らかになってしまうことも……。
女性にとっては、いく演技はできても、事後の余韻を演技することはむずかしいなと気づきました。そこで本音が出てしまうのは男も女も同じかも知れません。射精ののちに明らかになるお互いの相性と本音は、恋する二人にとって重要な未来を占う時間でもあるような気がします。

虚脱と空しさを回避できる相手を求めて

感覚

射精とは子宮に向かって放出すること、すなわち「出すこと」だと、これまで私は信じて疑いませんでした。しかし、AV監督で恋愛に関する著書も多い二村ヒトシさんによれば、出す感覚とは限らないそうです。
まず、男性器は射精そのものをどう感覚しているか、についてです。
「よく『爆発』と言う人がいますが、敏感な尿道を粘度の高いものが凄い勢いで通過していく感じです」
この言葉からはとても充実した気持ち良さが伝わってきます。というか、尿以外のものが尿道を通過する経験は女性にはありませんから、二村さんの描写ではじめて想像しました。
二村さんの言葉は、私には「出している」のではなく「出ていく」というふうに聞こえたので、何か受動的な感じがあるのかと質問してみました。「俺が精液を出している」のか、「精液が俺の身体から出ていった」のか、どちらの感じ方なのか、ということです。
「多くの男は『自分でコントロールしている』と思っているらしい。だから、尿道の感覚を(意識化して)味わっていないのでは。
自分でコントロールしていると思っていたら、そりゃあ『終わってしまった』後、むなしくなりますよね。何のためにコントロールして(射精しようとして)たのかわからない」
前述の男性が言った「やっと手にいれたオーガズムなのに『なんやこれ? しょうもな!』ということもある」という言葉を思い出しました。私が男性だったら、できればそんなふうにガッカリしたくない。できれば想像以上によかった、と思いたいです。そのためにはどうしたらいいのでしょうか。
二村さんによれば、「そのためには女性(相手)の積極性が必要。『受けの積極性』」ということでした。女性もみずから楽しんでいる、ということが伝わってくることが大切だそうです。
「なので、『行って』と言われるよりも『来て』とか、『わたしのために、もうちょっと我慢して』とか言われると、逆に行ってしまいます」
女性のなかには、自分の気持ちよさを追求する態度は、男性のやる気を削いでしまうのでは、と思っている人もいます。その結果、「本当は痛いんだけど、彼が一生懸命やってくれているから言えない」というような局面があります。
しかし、男性も「ただ出したいだけ」ではないので、どういうふうにしてほしいか女性も言ったほうがいいし、気持ちよくなりたいと伝えることは二人の相性をよくしていくことでしょう。

自分とは異なるシステムを持つ肉体に興味を持ち続けること

相性

それでは、すでに相性がよいこともわかっており、愛情がある相手への射精ではどうでしょう? 10年近く交際している相手がいる、という人にも聞いてみました。この人は、自身の性感曲線を言葉で解説してくれました。
「最初は緩やかな右肩あがりです。ただ相手の反応でそこは制御したりします。あまり長くなると相手も迷惑でしょうから。そんな時はそろそろかなという意識はあります」
興奮がなだらかに高まりつつありますが、やはりオナニーとはちがい、相手がいるということが精神的に大きく影響してくるようです。
「相手も迷惑でしょうから」には思わずクスッと笑ってしまいましたが、こういう気を遣ってしまうのは男性も女性も一緒なんですね。女性も、「あれ、いつもより時間がかかっている。私の膣のコンディションがよくないのかな」なんて思ったりします。
しかし、そんな気遣いを破るような激情があふれる瞬間があります。
「相手のセクシーな表情や声、脚、しぐさ、言葉で興奮すると(曲線は)急激な角度になります。で、激しく動いているとき、そこは暴力的な気持ちになるとともに相手の反応も気になっています。一緒にいきたいですから」
激しく犯すような荒々しさと、相手の感じ方を測る優しさとが拮抗して高まる時間です。動きが強くなるのと同時に、ジッと目を見つめられたりして、女性も興奮します。また、自分の膣内で硬くなったままのペニスをずっと感じています。
お互いの高潮を維持したまま、男性が射精にいたると……
「放出中はペニスはやや痺れてる感覚かな? できるだけ精液は膣に放出したくなります。一滴残らず。それで頂点に達すると線は途切れてなくなる感じです」
ペニスのやや痺れている感覚というのは、ペニスの海綿体の充血がMAXになったためかも知れません。
医学書などに描かれている性感の曲線では、射精直後に一気に下降する線が描かれていますが、そうではなくて「線が途切れてなくなる」というのは驚きで、でもとてもわかりやすい表現だと思いました。気になる放出後の感情の動きですが、
「それとともに、やはり相手の反応がとても気になります。普通の会話をされると、あれ?っと思います。やはり相手も満足したかが気になります」
ということでした。
長く交際しているパートナー同士なので、自分にとって相性のよい性器かどうかを見極める段階はとっくにクリアしていて、シンプルに「自分と同じだけ相手も満たされたかどうか」を考えてしまうそうです。

今回の四人の男性へのインタビューを終えて、「男性の射精はみな同じ」という思いこみを私は完全に捨てました。肉体的な変化の感じ方も人によってちがうし、相手を探している人と、長くつきあっている相手とセックスしている人では、何を思っているかもちがうようです。そこにその人の個性があり、相手との距離や思いが織りこまれています。
射精の瞬間は膣内ですから、膣とペニスのあいだで起きていることを目で見ることはできません。「男の人は出さないと終わらない、出せば終わりなのだろう」という先入観にとらわれず、彼がペニスでどんなふうに感じて射精しているか、女性から聞いてみるのもいいかも知れません。
自分とはちがう肉体の反応に関心を持つことで愛情が深まり、お互いの反応や感動を共有しあうことが、いつまでも二人を離れがたい存在にしていくのでは……と思った今回の取材調査でした。二村さんはじめ、女性は体感したことのない射精の感覚について解説してくれた四人の男性に心から感謝しております。