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LIFE & BODY

きれいと健康を持続させるダイエット<後編>
~アクセルを踏まず、急ブレーキをかけず~


今へとつながるきっかけ

更年期障害

<前編はこちら>

5年前、母の葬儀から2ヶ月が過ぎて、最初の母の日がやって来ました。
母の生前は、あわててカーネーションを贈った年もあれば、仕事が入ってうやむやにしてしまった年もあります。それなのに、二度と何もできないのだと思うと、どうしようもない淋しさに滅入ってしまいました。
何でもいい、5月の第2土曜日に予定を入れようと思った私は、その日に「女性の健康推進員」という新しい資格試験が行われることをネットで知りました。それがきっかけで、遅ればせながら更年期障害と女性ホルモンについて勉強をはじめることになったのです。
私の身体は、40代後半からさまざまな不調を起こしていました。
母は最期の日まで一人で好きなところへ出かけていましたが、私は同じような老後を過ごせるか不安になりました。健康に人一倍気を遣っていた母は、私の身体のことが心配でならなかったと思います。
頭が重くてふらふらする、朝目が覚めても手足がしびれて起き上がれない、仕事に行く支度をしていると混乱していつまでも荷物ができあがらない、手指の関節が変型して魔法使いのお婆さんのようになる、食事を摂生しても高脂血症が治らない、目が乾いてまぶたを閉じるとくっついて明かなくなる、髪の毛や陰毛が細くなりやつれて見える……どの症状もつらくて、さまざまな病院の複数の科を受診しましたが、どこへ行っても病気は見つからず、「年齢ですね」と言われるばかりで一向によくならなかったのです。
もう行く病院がないわ、と思いましたが、資格試験の勉強で、それらの症状はすべて女性ホルモンの欠乏による更年期障害の可能性があるということを知りました。それで、推進員に合格するのと同時に、女性ホルモン補充療法(HRT)を開始したのです。
後から思えば受診する順番が逆でした。年齢から考えたら、まず更年期外来で女性ホルモン値を調べ、女性ホルモン(エストロゲン)を補っても改善しない症状についてだけ、専門外来へ行けばよかったのです。複数科受診はやたらレントゲンを撮ることにもなり、健康保険のムダ遣いであり、何より時間がかかってヘトヘトになりました。
10年近く飲酒ダイエットを繰り返し、1日1~2食で済ませるようになっていた私の身体は、完全に栄養失調を起こしていたと思います。きちんと食事をしている人は、例えば大豆イソフラボンのような、エストロゲンと似た働きをする物質を身体に取りこめる可能性がありますが、私はそれもない。
食べなければ、とやっと真剣に考えるようになりましたが、もう古びた財布のような身体になりたくない。そこで筋肉トレーニングも始めましたが、タンパク質が不足しているので思うように筋肉がつきません。
エストロゲンは一日一錠の錠剤や、一日おきに貼り替えるシールでも補えますが、身についた習慣を変えるのは非常に時間がかかります。
私のダイエットの負債はまだまだ返済が終わりませんが、母のように最期の日まで活動できるよう、あきらめずに食事とトレーニングを続けていくつもりです。あきらめたら終わり、だと思いますから。

過剰なダイエットに陥りやすい性格とは

食事・筋トレ

しかし、よく懲りずに10年近くも間違ったダイエットを続けたものですよね。自分でもあきれます。
ダイエットにまつわる身体のトラブルを抱えてしまう最初のきっかけは、意外にも性格的なものにあるのではないでしょうか。私の場合は「たったこれだけでこんなに結果が出た。もっとがんばれば、もっと痩せられるはずだよ?」
と、自分で自分を叱咤激励してしまいました。よく言えば継続が好きなタイプ、悪く言えば結果重視で周辺が見えなくなるタイプです。
これはダイエットに限ったことではありませんが、私のようなタイプの人間には、周りがアドバイスしづらくなるのです。本人は歯を食いしばってがんばっているので、何か言っても受け止める余裕がないのが、はた目にもわかるからです。
飲酒ダイエットで体重を減らしていたときの私は、だんだん食事しないで仕事できることが素晴しいことのように(そんなこと誰も言っていないのに)思いこんでいました。
今度は筋トレに関して同じようになりました。ふつうにご飯を食べることをせず、完全に炭水化物を断ってしまったのです。プロテインを飲んでトレーニング、それから肉と野菜だけの食事、そして夜はまたビールだけ。
いくらトレーニングに励んでも、ぜんぜん筋肉はつきませんでした。糖質をカットしているため、運動すればするほどエネルギー不足になり、筋肉を分解して使ってしまうのだそうです。
そんなことを理解していなかった私は、結果が出ないことに凹んで、しばらくトレーニングをやめてしまいます。どんどん筋肉が失われ、お尻に張りがなくなって椅子に座るのが痛い…となってまたトレーニングを再開する。この繰り返し。ダイエットのときと同じ悪循環です。
5年もこんなことを繰り返しましたが、最近ジムを変えて、
「筋肉をつけたければ食事9割、トレーニング1割ですよ」
「炭水化物を摂らないと、筋肉を崩してエネルギーに使ってしまうんですよ」
と、自分の子供より若い体育大学生のトレーナーたちに言われ続けて、やっと一日三度きちんとご飯を食べる習慣を取り戻したところです。二ヶ月でようやく500グラムの筋肉をつけることができました。
「たった500グラム…なんかガッカリ!」
と私は思ってしまうのですが、この考え方がいけません。ダイエットも筋肉トレーニングも身体づくりです。加速度の高い方法で身体に変化を与えるのは、必ず弊害をもたらします。
読者の皆さんは、私のような余裕のないダイエットに陥らないでほしいと思います。ダイエットは数字を追求するためではなく、女性として美しくあるためにしているのだということを、どうか忘れないでください。

心のゆとりを持つ為に、スイーツを食べてもいい!

スイーツ

「しくじり先生」話はこれぐらいにして、みんなが大好きなスイーツの話をしましょう。もちろん、私も大好きです。
スイーツを楽しむことは心のゆとりを持つことにつながりますから、加速をつけて体重減少を目指すようなブラックダイエットに陥らないためには、おやつもやめない方がいいのです。特に私のような思いこみの激しい人、がんばっている自分に酔ってしまう人にとっては重要です。
「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは……」というCMソングが昔からありますが、午後三時におやつを食べるというのは実際に理にかなっています。一般的に15時~18時の間は一日のうちで最も体温が高く、代謝のよい時間帯だからです。
また、ケーキを食べたからご飯を抜く、という考え方もよくありません。スイーツと主食は成分が違います。たとえばご飯にはビタミンやミネラルも含んでいるので、食事は食事としてご飯もシッカリ食べて、その後でケーキを食べるというのが〇です。ご飯を食べ過ぎないように、食前にケーキを食べておくというのは×ですね。
朝ご飯の代わりにお菓子を食べたり、絶食しまくってからケーキバイキングで何個も食べると、体内の血糖値は急激に上昇します。血糖値が不安定になると太りやすい体質になりますから、毎日決まった時間に同じぐらいのスイーツを食べるほうがいいのです。
多すぎる糖を一気に体内に入れると、インスリンが増加して中性脂肪を作りだし、太りますから、ケーキバイキングや食事代わりの菓子パンなどはやめて、毎日おやつの時間を楽しみましょう。
それでは具体的にどれぐらいの量のスイーツを食べていいのか、一日の許容量を調べてみました。ダイエット中で一日に必要なカロリーを1500kcalとしたとき、10%にあたる150kcalはお菓子で摂っても問題ないそうです。
これをコンビニで見かけるお菓子に換算してみると……
・ポッキー 14本まで
・たけのこの里 11個まで
・キットカットミニ 2枚まで(1枚が2本になっている)
・アーモンドチョコレート 4個まで
「ええ、それだけ? もっと食べたい」
という声も聞こえてきそうです。事実、私はもっと食べたいです! そんな少しで止められる自制心があったら、最初からダイエットなんかしてませんって(笑)。
少しでも多く甘さにうっとりしたいなら、お菓子に入っている脂肪分に目を光らせましょう。バター・生クリームなどの油脂類が多い洋菓子よりは、小豆やきなこなど食物繊維を含む材料が使われている和菓子のほうがいいと言われています。食物繊維は血糖値を調整して、体脂肪の合成を妨げる効果が期待できるからです。
問題は甘さではないのです。甘みがあっさりしていても、アップルパイやミルフィーユなどはパイ皮に油脂がたっぷり含まれているので、要注意です。タルト一切れとシフォンケーキ一切れを比べたとき、タルトは皮だけで300kcalもありますが、シフォンケーキは大きめサイズ一切れで300kcal。シフォンケーキを食べたほうが満足できてカロリーも抑えられるということになります。さきほどの150kcalに当てはめると、大きめシフォンケーキ1/2切れなら毎日食べても大丈夫ですね。
また、体内で分解するのに手間がかかるもののほうが、太りにくくなります。あまり精製されていないもの―黒糖や、植物油脂とか、全粒粉とかは体脂肪を作りにくいそうですから、和菓子やマクロビ菓子はその意味でもお勧めできます。一緒に抹茶を飲むと、さらに脂肪吸収を防ぐことができるそうですよ。

過食症や拒食症(また双方を繰り返すこと)も大問題ですが、私のようにタンパク質・ミネラル不足を起こし、老化を加速させてしまうことも問題です。あやうく、人より早くお婆さんになってしまうところでした。いつまでも綺麗でいたいと願ってダイエットをするのに、私は年齢相応の見た目までも失って、やっとまちがいに気づきました。
英語の「diet」の語源は、「生活様式」を意味するギリシャ語「diata」が、「日常の食べ物」という意味に転じたものです。私が頼ったような「食べない」方法はそもそもダイエットではなかったのです。
人間の身体はとても精緻な驚くべきシステムを備えた機械です。どんなにお金を払っても、自分の身体より優れた機械を買うことはできないのです。この身体を最後まで快適に、美しく維持するためのダイエットです。

―アクセルばかりを踏みつづけないで、急ブレーキをかけたりしないで、楽しく長続きさせていきましょう!